イシケンノート。

イシケンの日々の備忘録。webマーケ関連の話が多いです。

伝統芸能を身につけるのに必要な時間はもっと短くてもいいのではないか

こんばんは、イシケンです。

今日は落語を見に行きました。昔、小学生の頃に学校に来てくれた話を見たことはありましたが、大人になってから見たのははじめて。
たまたま機会があって見に行ったのだけど、思っていたよりはるかに話し方がうまい。噺に出てくる登場人物や世界が本当にその場にいるかのような臨場感があるし、アドリブで笑いを入れて本筋に戻ってこれるのもすごい。話し方ひとつでここまで人を惹きこめるのかと感動しました。

今回見に行った方たちは、落語の世界では「二つ目」というランクにあたるという。
そもそも落語家にランクがあることを知らなかったし、「二つ目」がどの程度のランクなのかもわからなかったので調べてみると、落語家のランクには「前座見習い」「前座」「二つ目」「真打ち」と4段階あるらしく、「前座」「二つ目」「真打ち」とう順番で寄席(落語のプログラム)は進むらしい。

そして、この階級で気になったのかその昇格にかかる期間。

「前座みならい」から「前座」への昇格はわからないですが、「前座」から「二つ目」への昇格は約四年かかりその間年間7日程度しか休みがないらしい。その間基本的にはかばん持ちと雑用と修行。そして給料ではないので、師匠からのお小遣いが主な収入らしい。

「二つ目」になると雑用がなくなる分、出演機会も自分で見つけていかないといけないらしく、約10年で「真打ち」になるという。

なんと「前座」から初めて「真打ち」として一人前になるのに13年もかかる。新卒の年ではいったとして、36歳でやっと1人前の世界ということ。

スポーツの世界に生きるアスリートもそうだけど、やはり、技術を仕事とするにはそれなりの時間がかかる。

...。

でも、もうちょっと短くできたりするのではないか?

今スポーツに例えたが、昔に比べて若い年齢で活躍する層も多い。世界で活躍する小学生とかもよくみるし、昔は不可能と言われた技がもはや多くの人が実行されて進化しているケースもある。

これは、スポーツを支える道具や教育方法の進化が背景にあると思う。試合を見たければスマホなどの動画はすぐ見れるし、動きの軌跡をトラッキングすることもできる。技術の進化によって、技術を盗める環境やPDCAを回しやすくなったことで成長の2次曲線の傾きが急角度になったのだと思う。


同じように、落語のような伝統芸能の世界ももっと早く技術を身につけることができるのではないか。

前に堀江さんが寿司職人の修行に10年もいらないと言って炎上していたけど、寿司職人に限らず学習環境が変わっているのだから身につけるのに必要な期間が短くなるのは自然だと思う。もちろん人間関係もあるし、今の伝統芸能の世界を舐めているわけでもないけど、環境が変わっている中で勝手に聖域化して他の手段を考えないというのも違和感がある。

たとえば、ある一定まで習熟する速度が速くなっているのだから、落語を話す機会として「前座」の人がwebで配信したり、落語家一門でない人が見よう見まねでweb場で事実上落語家として有名になるケースもあるかもしれない。

本物でない落語が増えることで、落語の質が落ちたという批判が生まれつつもそういった"落語"が増えることでいわゆる今の落語がプレミア化して人が暑待つかもしれない。(そもそも昔は落語家という職業の人でなく色々な人が話していたらしいし)

落語の階級制度を見ていてそんなことを考えた。
すでにそういう技術の影響は出ているのかもしれないけれど。

まぁ、何が言いたいかというと技術の進歩は伝統芸能の常識となっている定規も変化しうるということ。
そして、今日見た落語がとても面白く、その技術に素直にすげーと思ったということだ。